川 口 すいほ(平成14年度『北の雲賞』 [正 賞])

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遥かなる炭山の灯

いっせいに炭山なき山の芽吹きかな
錆色の立坑櫓春の風
郭公鳴き眠れる地霊呼び起こす
春の雲炭鉱遺産の発電所
遠郭公炭鉱長屋影もなし
まなうらに炭山の灯のごと初蛍
抗口を指さす人の夏帽子
逢へば出る昔の話炭山祭
苺売り来て炭山の灯をかがやかす
ぼうぼうと夏草茂る長屋跡

炭山のいで湯の記憶月今宵
人栖まぬ色なき風の坑の跡
花野まで錆し鉄路の跡を踏み
野ざらしの炭車吹かるる秋風裡
誰もゐぬ廃校の庭虫すだく
秋澄みぬ昔は黒き炭山の川
炭山に生き老いも若きも盆踊り
ひっそりと秋草匂ふ殉職碑
凍つる夜の夢の中なる発破音
遥かなる炭山の灯偲ぶ雪の夜

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